【第3回】「ちょっと色気を出した結果、血を流した」――市場タイミングと個別株の罠。
「マーケットタイミングを狙うというのは、本当にたちの悪い考え方だ」 ―― チャールズ・エリス(『敗者のゲーム』著者)
インデックス投資の王道は「長期・分散・低コスト」です。頭では分かっているのに、人間というのは欲望と恐怖に弱い生き物です。かくいうおっさんも、現役時代はしっかり色気を出して血を流しました。血を流した失敗は大きく2つです。
- 失敗①: 売買タイミング・現金比率のこねくり回し:稲妻が輝く瞬間(急上昇する数日間)を逃し、パフォーマンスが低下
- 失敗②: コア・サテライト戦略での個別株投資:カントリーリスクで株価が急落、精神を削られる
まず①から見ていきます。最大の失敗は、「売買タイミングと現金比率(キャッシュポジション)をこねくり回したこと」です。
「今は最高値だから、一度現金を増やして暴落したときに買い直そう」 「底を打ったっぽいから、現金を一気に株に投入しよう」
自分では賢く立ち回っているつもりでした。しかし、相場の先行きを読めると思うこと自体が素人の傲慢です。結局、相場から退避している間にインデックス投資最大の旨味である「稲妻が輝く瞬間(急上昇する数日間)」を逃し、普通に持ち続けていた場合よりもパフォーマンスを落としました。
何より、「いつ株に戻すか」「いつ現金化するか」を毎晩考えることになり、脳のメモリ(精神的リソース)を無駄遣いしてしまったのが一番の失策でした。
そして、もう一つの罠が②「コア・サテライト戦略にかこつけた個別株投資」です。
「インデックス(コア)だけだと退屈だな」と、サテライト枠で流行りの個別株に手を出しました。ですが、個別株の暴落はインデックスの比ではないほど精神にきます。
なぜなら、会社の業績とは全く関係のない「カントリーリスク(地政学リスクや規制変更)」などの理不尽な外部環境によって、ある日突然株価が半分になったりするからです。自分の力ではどうすることもできない理不尽さと、たった一人で向き合う不安は、夜も眠れないほど精神を削ってきます。
投資の神様ウォーレン・バフェットは「分散投資は無知に対するヘッジだ」と言いましたが、これはインデックスを否定しているのではなく、「プロのようなリサーチや地政学リスクの管理ができない一般人(無知)は、大人しく分散(インデックス)だけに頼るのが一番安全で賢い」という深い優しさなのです。
インデックス投資は、構成されている1社が潰れたとしても、勝手に中の銘柄を新陳代謝(自動入れ替え)してリカバリーしてくれます。
余計な先読みをせず、自分の感情を挟まず、大人しくインデックスというシステムに乗る。それこそが、一番リターンが高く、何より「夜ぐっすり眠れる」最高の戦略なのだと痛感しました。
⚠️ 投資リスクに関するご注意 投資には元本割れのリスクがあります。本連載は個人の経験に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。実際の投資判断はご自身の責任のもと、必要に応じて専門家にご相談ください。